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国産畳表へのこだわり

 岡田畳本店が、畳のなかで最もこだわる部分が、い草で編まれた「畳表(たたみおもて)」です。畳の表情をつくるいわば畳の顔であり、肌触りや心地よさもこの畳表で決まります。また直接肌にふれる部分であり、安全で健康な畳表をご提供できるように努めています。

 畳床や縁が工業的に均質に生産されるのに対し、畳表は産地や生産者によって、大きく品質や質感の違いが出てきます。岡田畳本店はお客様に求められるニーズを、常にい草の農業生産者、織手といった畳表の生産者にフィードバックし、質の高い畳表を扱い続けてきました。
 岡田畳本店は畳表の質や安心の証として、生産者の顔の見える畳表をお届けしたいと考えています。

● い草生産・畳表生産 宮崎氏(福岡県大川市)

10年前から無着色の畳表の生産に取り組み。

 以前には、緑の映える方ががよく売れるということで、い草を染料で染めた畳表を出荷するということが畳業界では当然のように行われていました。マラカイトグリーンという発がん性の指摘される染料が使用される場合もあり問題として浮上、県では5年前から無着色の指導が始まり現在約半数が無着色となっています。

  宮崎さんと岡田畳本店はこうした問題が浮上する10年前から、無着色の畳表の生産に取り組んでいます。座敷の上を歩く足袋の裏が染料で真っ青になっていた、こんな経験から本来い草が持つ色味で畳表をつくろうと、無着色畳表の生産を開始しました。

 平成14年度からは、泥染の工程(い草の色を定着させ、乾燥を安定させる工程。着色とは違います。)にも指定の尾道で生産される備後深染土を使用。着色料が含まれるという他の染土の使用を避けることで、より安全な畳表の生産を図っています。

 また完全無農薬とはいきませんが、農薬の使用も最低限に抑えています。 除草剤には強いもの(雑草を枯らす除草剤)がありますが、い草に影響があるので使わず、弱い(抑える)除草剤を使用する。といったように、畳表の織に求められる質を保つための最低限の使用にとどめています。

 また宮崎さんは、い草専業農家なのでい草を刈り取ったあとの田圃は稲作はせず、次のい草の植え付けまで休ませます。通常はい草の収穫後に米が植えつけられる事が多いのですが,これを行わず地力を回復させ質の高いい草の栽培を行います。

倉庫に保管中のい草
倉庫に保管中のい草
備後深染土
着色剤を含まない備後深染土
い草畑を背景に宮崎氏
い草畑を背景に宮崎氏
収穫後、い草の株を焼いた畑
収穫後、い草の株を焼いた畑

● 畳表 深川商店(熊本県八代市千丁町)

織に専業化・質の高い畳表を生産

 深川さんはい草の生産農家からい草を買い付けて畳表を織る、織り専門の生産者です。畳表の生産者の多くはい草の栽培から織りまでを一手に行いますが、このため最後に織られるい草は長期間倉庫に保管され,退色を補うために染色するといった問題があります。
 深川商店では織に専業化することで,い草の収穫後、最も状態のいい期間に織りに集中することができます。

 良質の畳の条件として色むらの無さがあげられますが,深川商店ではい草選別機を導入して,変色したい草を取り除いています。根本に赤みのあるい草が取り除かれます。
 さらに、回転式い草選別機にい草をかけ、折れたい草を取り除きます。最終的に目視によって、変色や折れのい草の選別を行います。

 織機では、い草が左右に配置され交互に縦糸に差し込まれます。差し込みが途中で止まってしまった場合や,い草が2本差されてしまった場合には自動的に停止するようになっており、織むらのないきれいな畳表が織りあがります。

 深川商店では,こうした織機が同時に数台稼働し,短いい草を利用して色の薄い根本と色の付いた先端の色が交互に表れる市松織や、普通の目幅の半幅で織られる目積織、原料のい草にこだわった大雲海表など畳表が生産されています。

い草選別機
変色したい草を選り分ける選別機
い草の色味を確認
折れや変色を最終的に目視で確認
織り上がった畳表
織り上がった畳表はひとつながりのシート状になって出てきます
畳表織り機のチェック
織機の具合を確認する深川氏

● 青木本店(大分県東国東郡安岐町)

数々の手間をかけて生み出される琉球表

 青木本店は、七島い草で織られる琉球表の生産者です。琉球表の原料になるい草は,七島い草と名前がつくように通常のい草とは異なり,そのためその生産工程も、通常の畳表と大きく異なります。

 七島い草の特徴はその断面にあります。通常のい草が丸い断面をしているのに対し,三角形の断面をしています。琉球表が野趣のある表情があるように、そのい草畑も勢いのある成長をします。

 普通のい草(丸藺)の根元は株になるので、機械(ハーベスター)で刈り取りが出来るのですが、七島い草の根元は丸い株にならないでバラバラに株別れして成長するそのため機械で刈り取ることが難しく、手作業で刈り取りを行います。七島い草は2ヶ月で背の高さまで成長し、長さは約150cm~170cmと人が隠れるほどの高さになります。
 青木本店のい草畑は谷戸の一番奥にあるため、周辺からの農薬の影響が少ない環境で栽培されています。

 七島い草は丸藺と比べとても太く約7mm~10mmもあるので2つに裂いて使います。
 乾燥を促進させるための泥染も七島い草ではおこなわず、横に並べて乾燥機で乾燥されます。乾燥機から出てきたい草はまさに干し草の香ばしい香りがします。

 七島い草は丸い草のように織機に自動に送り込むことが出来ないので、左側から来る棒の先端に右側から一本ずつ手作業で引っ掛けて送り込んで織ります。このため、織機も琉球表専用のものになります。

 このように自動化できる部分が少なく,非常に手間のかかる琉球表ですが,通常の畳表の数倍の強度をもつ言われ、また火にも強いという特性を持ちます。このため、古くから柔道場や商店などで利用されてきました。

 現在、七島い草生産者は減少しつつあります。青木本店では,使われなくなった琉球表用の織機を引き取り,稼働できるように整備する活動を行っています。また半端に出たい草を少しでも無駄にしないようにと,い草を利用した草履生産なども行っています。

七島い草を手に青木氏
七島い草を手に青木氏
琉球畳表の織り機
琉球表専用の織機
七島い草畑
七島い草畑
収穫した琉球い草