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2008年8月:畳表産地レポート『琉球畳編』vol.04

いよいよ琉球い草の収穫。ここが一番大変なんです。

刈り取った琉球い草

琉球い草の分割作業い草分割機割かれた琉球い草

 琉球い草の収穫は、真夏の日中の強い日差しと熱気をさける為に、日の出前、日没後に行われます。

 日の出前は、なんと午前3時に起床して作業をはじめ、6時頃に収穫を終えます。真っ暗な中、田んぼにライトを落として作業が行われます。取材班は、この時間帯についてゆけず、この絶好の収穫シーンを逃してしまいました。

 さて、収穫されたいぐさは根元と先を切りそろえられますが、140センチ近くあります。

 まず最初に行われるのが、琉球畳独自の行程で、い草を2つに裂きます。断面を露出させることで、この後の乾燥の行程を促進させる効果があります。また太い三角形断面が二つに裂かれることで作られる不整形な断面が、琉球畳特有のざっくりとした肌合いを生み出すのです。細いい草を二つに裂くのは随分と大変な作業に感じますが、その名も『七島藺動力分割機』にい草をセットすると、シュルシュルッと面白いように、い草が裂かれて飛び出してきます。

 こうして、下ごしらえの終わったい草は乾燥機にかけられます。畳4畳ほどの平たいざるに薄く広げられ、4段重ねで乾燥機に入ります。

 乾燥からあがったい草からは、香ばしい干し草の香りが立ち上ってきます。まるで、この国東半島で育ちながら受けた太陽の光と、風雨がぎゅっと詰まっているような香りです。そして乾燥の最中、朝方から作業をしていた農家の皆さんはお昼寝です。

 日没後には、別のチームが2時間ほど刈り入れの作業を行います。収穫は一時に行われるので、この2チームが交互にフル稼働して、収穫を続けます。琉球畳製作の過程で、最も大変な作業となります。

 

乾燥中の琉球い草

こだわり国産畳表の生産者

琉球畳表生産者 宇都宮さん大分県国東市安岐町

琉球畳表生産者 宇都宮 務 さん

大分県では初めての、地域特産物マイスター((財)日本特産農産物協会認定)の認定をもつ宇都宮さん。国東半島の風土が生み出す特産物として、琉球畳の原料である「七島い」の生産に励んでいます。

琉球畳表問屋:青木本店大分県国東市安岐町

琉球畳表問屋 合名会社 青木本店 青木 勝征さん 

国東半島で生産された、琉球畳表を取り扱う現地問屋の青木さん。産地の農家と畳店をつなぐ大切な役割を担っています。その他、使われなくなった琉球畳用の織機を引き取り改修保存する活動や、琉球畳表の端材を有効活用して草履を生産するなど、琉球畳生産農家を支える立役者です。