2008年6月:畳表産地レポート『琉球畳編』vol.02
琉球畳の生まれは大分県国東半島
今月は、琉球い草の生長具合と、生産地のお話をお届けします。
通常のい草が苗植の後冬の間に根を張って伸び始めるのに比べ、琉球い草は苗植の後、すぐに成長を開始します。膝下だった苗が、既に腰の高さにまで伸びてきています。こうした琉球い草の荒々しいほどの成長ぶりが、琉球畳の特徴である、コシの強さになるのです。
こうして、順調に生長している琉球い草ですが、やはり通常のい草と同じように、先刈りを行います。先端の古い部分を刈り取ることで、根元から新しい芽が成長し始め、ツブのそろったい草に成長します。
一足先に苗の植え付けが終わっていた下段に位置する田んぼでは、既に杭が立てられ、伸びてきた琉球い草が風で折れたりしないようにロープが張り巡らされています。
琉球畳というと沖縄で作られていると思っている方も多いのではないでしょうか実はこの琉球畳の生産中心地は大分県の国東半島に有ります。国東市安岐町を中心に琉球い草の田んぼが点在します。
国東半島の海から吹く潮風、強い日射が琉球い草特有のしなり強いコシを育てるといいます。
琉球い草は、七島い草とも呼ばれています。屋久島から奄美大島の間に点在する7つの島からなるトカラ諸島から、1663年に橋本五郎右エ門が国東半島に持ち込んだい草といわれ、この名前がついているんです。当時は各藩の特産物を持ち出すことは難しく、五郎右エ門は竹の筒に、苗を隠して持ち出したといわれています。
レポートをお届けしている宇都宮さんの田んぼは、海から山を一つ越えた内陸に有ります。すぐ背後に山を控え、その湧き水で田んぼの水をまかなっています。そのため、他の農産物に使用された農薬などが混入する心配がなく、安全ない草を生産することができるそうです。
こだわり国産畳表の生産者
大分県国東市安岐町
琉球畳表生産者 宇都宮 務 さん
大分県では初めての、地域特産物マイスター((財)日本特産農産物協会認定)の認定をもつ宇都宮さん。国東半島の風土が生み出す特産物として、琉球畳の原料である「七島い」の生産に励んでいます。
大分県国東市安岐町
琉球畳表問屋 合名会社 青木本店 青木 勝征さん
国東半島で生産された、琉球畳表を取り扱う現地問屋の青木さん。産地の農家と畳店をつなぐ大切な役割を担っています。その他、使われなくなった琉球畳用の織機を引き取り改修保存する活動や、琉球畳表の端材を有効活用して草履を生産するなど、琉球畳生産農家を支える立役者です。